この曲は、ジャケットにあるように、第14回サン・レモ音楽祭の優勝曲で、新人のジリオラ・チンクエッティが歌った曲です。この曲がヒットした時、私は、9歳でしたので、当時の事は全く覚えていません。が、伊東ゆかりが、このサン・レモ音楽祭に出場したという事が話題になっていた事はなんとなく覚えています。(覚え違いかもしれません。)この曲を知ったのは、私が、高校生になった、1970年代の事だろうと思います。文化祭で、当時人気の天地真理とこのチンクエッティの大きな写真が教室に飾られていて、その時にこの曲を聴いたのだと思います。一回聴いただけで、甘く切ないメロディーとドラマティックな曲想と言葉が、私の心をしっかりとらえました。レコードは、当時ヒットしていたカンツォーネを集めたLPを買い、この曲を繰り返し聴いていたのを覚えています。
目次
Ⅰ ジリオラ・チンクエッティについて
Ⅱ 1980年代までのポピュラー音楽について
Ⅲ 癒しの音楽『夢見る想い』
Ⅰ ジリオラ・チンクエッティについて
チンクエッティは、1963年のカストロカーロ新人コンテストで、優勝。1964年、16歳の時にサン・レモ音楽祭で『夢見る想い』(non ho leta)を歌い優勝。続いて1966年には、『愛は限りなく』で再びサン・レモ音楽祭で優勝しています。この曲は、世界的にもヒットしています。この時代は、日本でも、サン・レモ音楽祭が報道されるなどで、カンツォーネの人気が高まっていた頃で、ボビー・ソロやミルバ、ウィルマ・ゴイク、古くは、クラウディオ・ビルラ等が人気でした。この音楽祭には、伊東ゆかりや布施明が参加したそうです。
チンクエッティの声は、アルトで、声域は高くなく、日本でいうと天地真理のような感じの性質でした。天地真理は、正式にクラシックの発声法を習っていますが、チンクエッティは、聴く限り素人っぽい歌声でした。そういうところが、当時受けたような気もします。そんなに旨い感じはないのですが、感情が歌に乗り、聞き入ってしまう説得力を持っていたようです。少し、矛盾しています。それを強く感じたのは、二回目の優勝曲である『愛は限りなく』を聴いてそう感じました。
Ⅱ 1980年代までのポピュラー音楽について
今、世界の直接的な文化的な交流は、コロナもあり、途絶えています。が、ネットがあるので、世界中の人が色々な文化を目にしたり耳で聴いたりすることが出来ます。しかも、瞬時にそれができます。
ところが、80年代まで、つまりネット環境が整わない時代、外国文化に直接触れるのは、直接行くしかなかったのです。そのため、1960年代からの私の外国文化の吸収は、テレビやラジオ・映画しかありませんでした。その為かもしれませんが、ラジオやテレビに入ってくる音楽は、一回聞いただけで、すぐ覚えられるリズムやメロディーを持ってました。それは、日本の音楽(歌謡曲)もそうでした。ですから、歌詞を覚えれば、知っている人同士で歌うことが出来たのです。バスでの修学旅行では、歌詞カードがあれば、何の伴奏がなくても皆で楽しく歌うことが出来ました。この時代を経験した人々は、流行歌という共通の合言葉を持っていたのです。確かに、ベトナム戦争や様々な紛争が世界各地でありました。が、80年代まで、それを乗り越えることが出来るような、世界の人々が歌える歌を数多く持っていたのです。本当に幸せな時代だったかもしれません。この曲は、その中の一曲のような気がします。
Ⅲ 癒しの音楽『夢見る想い』
この曲は、チンクエッティの名前が、世界に知られる初めての曲です。まだ、16歳。歌唱も初々しさがあり、切々と歌う歌声は、胸に迫ってきます。歌詞も日本人にとっては、発音しやすくよく聴けば、なんとなく分かります。しかも英語よりはるかに分かりやすいです。なので、日本でヒットしたのも頷けます。日本では、弘田三枝子や伊東ゆかり、梓みちよ等が歌っています。日本語でも良く歌われるため、日本語の歌詞も有名です。(あなたに愛され 愛するその日を 夢見る私は あなたと二人でデートをするには まだ早いかしら この胸のこのときめきを・・・・) 当時、『この胸のときめきを』という歌をダスティ・スプリングフィールドが歌っていたので、どちらが先か分りませんが、この言葉が強烈に残っています。
原語の歌詞がどういう内容かわかりませんが、日本語の内容とメロディーが良く合っていて、当時の日本人の純粋な乙女心がわかるような歌詞になっています。今の日本に、こんな純真な恋愛あるのか、昔の歌を聴くことで、心が洗われるような気がします。
今回、イタリア語の歌詞は、割愛します。が、もし興味があれば「夢見る想い イタリア語」をYOUTUBEで検索すればいくらでも出てくると思います。ご覧ください。
今、YOUTUBEを観れば、大抵の音楽や動画を見ることが出来ます。いい時代になりました。若者達が、どういうわけか、昔の音楽や動画を見る人が増えているそうです。きっと、今の音楽にないエネルギーを感じているからだろうと思います。エネルギーというと、今の音楽は、最初から最後まで一定のリズムやボリュームで、たくさんの言葉を息も切らずに連発する歌が流行っています。まるで、ダンスミュージックのように。コンサートでは、観客全員が、手をあげ、声をあげ、同じリズムで歓声をあげます。確かにそれも一体感をうみ、素晴らしい経験になるでしょう。でも、その若者たちが、そこから離れ、昔の音楽を聴こうとしています。そこには、人間の複雑な感情の襞を多くの言葉を使わずに、歌と歌手の力量で聴いている人に訴えるものがあるからなのではないでしょうか。
シンプル・イズ・ベストという言葉があります。私達Neospace fuuもただ、水を飲み、手をあてるだけの簡単な施術や、絵画や図形そして、折り紙を見るだけで癒される。そんな空間を演出します。治療の原点は、手当という言葉がある通り、それを12ポイント行います。昔の音楽を聴き、かつて、胸を高鳴らせた時を思い出すことで、人は、元気になります。あなたにそんな空間を演出できればと思っています。