今、ロシアとウクライナは、戦闘状態が続いています。一刻も早く元の平和な状況になる事を祈って、この歌を聴いてもらえればと思い、この歌を紹介いたします。この歌は、007シリーズの第二作『007/ロシアより愛をこめて』(1963年)の主題歌です。大ヒットミュージカル『オリバー』のライオネル・バートが作詞・作曲をし、音楽をジョン・バリーが担当。歌は、映画『野生のエルザ』の主題歌『ボーン・フリー』でアカデミー賞を授賞した歌手のマット・モンローが、ボーカルを担当しました。
目次
Ⅰ マット・モンローについて
Ⅱ 癒しの音楽編 『ロシアより愛をこめて』マット・モンロー
Ⅲ 人を癒す声とは?
Ⅰ マット・モンローについて
マット・モンロー(1930~1985)は、イギリスの歌手。「黄金の声を持つ男」として、知られる彼は、30年の間、世界で活躍しました。AllMusicで、彼は、「60年代で最も過小評価されているポップボーカリストの一人」と形容されています。マット・モンローは、本名テレンス・エドワード・パーソンズと言います。上記の通り、マット・モンローは、50代半ばで、人生を終えます。ヘビースモーカーでアルコール中毒のためか、分かりませんが、肝臓がんで亡くなっています。レコードセールスが、約一億枚と言われているので、長生きしていたら、もっと売れていたでしょう。
彼の声は、典型的なバリトンです。甘くソフトでどこまでも折り目正しい歌声です。過不足なく心地よく響く丁寧なその歌声は、誰も嫌な感じを受けないと思います。フランク・シナトラの声に似ていますが、彼の声は、フランク・シナトラをより優等生にしたような感じを受けます。英国でのヒット曲に『Walk away』『Portrait of my love』『My kind of girl』『Yesterday』があります。又、すでに書いたように映画の主題歌も多く歌っています。
Ⅱ 癒しの音楽編 『ロシアより愛をこめて』マット・モンロー
冒頭で007シリーズ『ロシアより愛をこめて』の主題歌と書きましたが、正確には、『007危機一髪』の主題歌『ロシアより愛をこめて』が正しいようです。この主題歌は、映画の冒頭では、演奏されず、映画の終わりのシーンでこの歌が演奏されます。作詞・作曲は、ライオネル・バートで編曲は、ジョン・バリー。私は、この歌で、初めてマット・モンローという歌手を知りました。美声という感じではありませんが、大人の色気を感じるような渋みのあるいい声をしていると当時、感じました。この歌の音域は、広くありませんが、最後のLOVEの高いロングトーンは、何度聴いても、この映画を閉めるにふさわしい感じがします。トム・ジョーンズの『サンダーボール』の最後のロングトーンのように、胸いっぱいに息を貯めて全力で歌いきるのではなく、あくまでも、ソフトに綺麗にしっかりと歌い上げる唱法は、彼が、プロの歌手である証のような感さえします。
この映画は、主人公のボンド(ショーン・コネリー)と相手役のボンドガールであるダニエラ・ビヤンキの恋の語りをこの歌が、さらに盛り上げます。映画の背景と二人、そしてこの歌がかみ合い融合し、スパイ映画アクションでありながら、見事に美しい映画にしあげられています。映画の大ヒットは、この歌があったからこそとも言えます。
Ⅲ 人を癒す声とは?
歌手は、兎に角声が美しい方がいい。音域がある方がいい。テクニックがある方がいい。リズム感がある方がいい。声にパワーがある方がいい。発音が綺麗な方がいい。歌詞と音楽を理解し、適確に表現する能力があった方がいい。これを、実際にできる歌手は、限られているのかもしれません。これらが出来れば、歌えない歌はありません。ですが、歌にあった声は、あります。まず、そこがあってなければ、違和感があり、音楽を楽しめなくなります。
さて、本題ですが、人を癒すには、声があっても、癒すメロディーと歌詞がないと人を癒すには物足りません。そして、最後に声を飾る楽器伴奏です。楽器伴奏には、コーラスも含まれることもあります。現代のポップ音楽にとってこの伴奏は、重要です。主役である声を伴奏がどう引き立てていくかです。
『ロシアより愛をこめて』では、ジョン・バリーが編曲を担当し、マット・モンローの声を際立たせました。マットの声は、派手さがなく地味な声です。しかし、際立たせれば、ソフトで温かな響きが伝わります。この楽曲では、それが見事にマッチングされ、完成度の高いものに仕上がりました。心地いい。うっとりする。ロマンチック。どう、表現しても言い足りません。
マット・モンローの声は、息継ぎが聞こえず、最初から最後まで、丁寧に子音に気をつけながらビブラートを余りつけずに歌い上げます。この折り目正しさから、安心して注意深く彼の声に耳を傾けることが出来ます。
これが、人を癒す声になり、約一億ものレコードセールスをしたのだと思います。安心して曲を歌って聞かせ、人を癒せるボーカルが出て来る事を願い、44回目のブログを終えます。
追伸
私は、ブログで書きました通り教員という事で、人の前に立って話す事が多くありました。妻も、小学校で、絵本の朗読をしてきました。そのため、自分の思いを人に話す言葉が、どれだけの人に影響を与えるかを、体験してきました。Neospacefuuでは、その事を踏まえ、色々な人を大切にし、接していきたいと考えています。YouTubeの「チャンネルこのみ」では、絵本の朗読をしていますので、是非、生の声をお聞きください。