癒しの音楽編 『想い出のサンフランシスコ』トニー・ベネット

この曲は、日本で言うご当地ソングというところでしょうか。『想い出のサンフランシスコ』(原題:I Left My Heart In San Francisco)は、1953年にアマチュアのジョージ・コウリ—とダグラス・クロスによって書かれたポップス曲です。トニー・ベネットは、たぶん、この一曲で、世界に名が知れ渡るようになったのではと思います。ビルボードでは、19位が最高位のようです。が、自分たちの世代で、この曲を知らない人は、いないと思います。録音したのは、1962年ですから、60年以上も前になります。派手さはありませんが、このメロディーは、私達の心に確実に染みわたります。しかし、この名曲の作詞作曲が二人ともアマチュアだったというのは超驚きです。

目次

Ⅰ トニー・ベネットについて

Ⅱ 癒しの音楽編 『想い出のサンフランシスコ』トニー・ベネット

Ⅲ 歌は、心を込めて歌い、言葉も、心を込めて話し書く 

Ⅰ トニー・ベネットについて

 トニー・ベネット(1926年~)は、イタリア系アメリカ人で、アメリカのポピュラー音楽のポップ、ジャズ歌手。ニューヨーク州クイーンズ生まれ。本名は、アントニー・ドミニク・ベネデット。芸名は、本名を切り詰めたものです。現在、97歳くらいでしょうか。未だに、トニー・ベネットの歌のニュースを聞くことがあります。歌は、心身共に節制した生活をしないと、声を保てません。どんな生活をしているのか聞いてみたいくらいです。

 トニー・ベネットは、1950年代から活躍していて、ビルボード一位に三回も入っています。ところが、一番有名な曲『想い出のサンフランシスコ』が、19位でした。しかし、グラミー賞のレコードオブザイヤーとポップメイルヴォーカル賞を授賞しているのは、不思議な気がします。どうしてグラミー賞をとれたこの曲が一位にならなかったんでしょう。いい曲が、必ずしも売れるというのではないという典型なのかもしれません。(何枚売れたのかは、資料がないので分かりませんが。)しかし、グラミー賞の審査委員には、認められたのですから、トニー・ベネットは嬉しかったのではないかと思います。

 彼の声は、バリトンからテノールの音域まであり、どの音域も安定感抜群の声を持っています。ちょっぴりハスキーで枯れた感じがあります(その声が又いいのです)が、声の伸びは半端でありません。ジャズで鍛えている為か、リズムにのった歌唱は、小気味良い感じがします。先輩歌手であるフランク・シナトラは、「おれの考えでは、トニー・ベネットは、音楽業界最高の歌手だ」と評価しています。

Ⅱ 癒しの音楽編 『想い出のサンフランシスコ』トニー・ベネット

 『想い出のサンフランシスコ』は、1962年にリリースされ、トニー・ベネットのトレードマーク的な曲になっています。2000年代に入ってから、コンサートの中ほどでこの歌を歌うのが常となっているようです。この曲が終わると客が拍手喝采をした所で、照明が照らされ、拍手が終わった所で、照明が落とされて、再び、ショウが再開されるというパターンがあるようです。

 トニー・ベネットは、この曲の事を「この曲のおかげで、私は、世界市民になれた。この曲のおかげで、世界中どこへ行っても働いて歌うことが可能となった。この曲のおかげで私は、生きていく事ができたのだ。この曲は、私の人生すべてを変えてしまった。」と話しています。

 この曲の冒頭には、主旋律ではないオペラのアリアで言う叙唱から始まりあの有名な旋律である詠唱がはじまります。普通の歌で言う錆の部分です。ナット・キング・コールが歌った『スター・ダスト』や『太陽は燃えている』のビッキー・カー盤では、この形式に近い曲になっているようです。錆を歌う前に、語りが入るとその錆が際立ち、錆を歌いだしたとたん、一気に脳内のセロトニンが溢れ出て来るような気分になります。

 ここで、この歌詞を和訳したものがありましたので、ここで紹介します。

 

 素敵なパリも

 どこか悲しげな灰色に見える

 ローマの栄光も遠い昔

 マンハッタンでは

 ひどく孤独で居場所がなかった

 帰ろう 入り江の我が町へ

 僕の心はサンフランシスコに残ったまま

 丘高く 僕を呼んでいる

 

 そこでは小さなケーブルカーが

 星空に向かって昇っていく

 朝霧で空気が冷えても

 気にしないさ

 愛する人が待つサンフランシスコ

 青く風吹く海の上

 

 サンフランシスコに帰れば  

 黄金の太陽が僕に輝く

 なんだかこの歌詞、北島三郎の『帰ろかな』に似ている気がします。『帰ろかな』の場合、故郷への郷愁を誘う内容ですが、上記は、サンフランシスコの素晴らしさを歌っている所が少し、違うような気がします。

Ⅲ 歌は、心を込めて歌い、言葉も、心を込めて話し書く

 この曲は、過去にサンフランシスコに住んでいた時の想い出を歌っています。トニー・ベネットは、いつものように、笑みを浮かべながら楽しそうに歌っています。語りの部分は、少し悲しい雰囲気の歌詞ですが、この曲は、いい曲。本当に美しい曲なんだ。一緒に僕とこの歌を最後まで楽しんでね。とでも言ってるような温かさを感じるのです。

 今まで、数多くの歌手や演奏家を紹介してきました。が、最終的には、聞いてみてそれぞれの人にその言葉が届くかどうかだろうと思います。聴いた曲が自分の今の心境にあったものが、届くのだろうと思います。ですから、今まで何とも思わなかった曲が、突然、自分の心の深くに入り癒されることもあるのかもしれません。歌には、アクセントや強弱抑揚クレッシェンド、デクレッシェンド等あります。それが、言葉にのって聴く人の耳に届きます。それは、私達が普通に話している言葉にも通じます。この言葉には、魂が宿ります。このエネルギーは、聴く人の魂を揺さぶります。

 ある歌手の演奏会を観た客が、その歌に感動し歌手を目指し、実際にプロの歌手になったという話があります。また、学生が、ある教師にあこがれて自分も教師を目指し、教師になるという話もたくさん聞きます。言葉には、人を動かす力があります。また、話す言葉や歌ではなく、書き言葉にも魂が宿ります。私が書いているブログの言葉にもエネルギーがあると思っています。このブログの言葉の中のエネルギーを皆様が受けとり、Neospace fuuに来られることを祈りたいと思います。

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