この曲は、色々なアーティストが取り上げてヒットしています。その中でも特にこのライチャス・ブラザーズが、吹き込んだこのシングルが一番なじみ深いのではと思い、紹介します。とはいえ、ブラザーズと言いながら、この曲を実際に歌っているのは、写真右側のボビー・ハットフィールドです。左側の写真は、ビル・メドレー。という事で、二人は、ブラザーズと言いながら、兄弟ではありません。ボビー・ハットフィールドの歌を何故、取り上げたのかというと、やはり、なじみ深い事と歌唱が、このメロディーにピッタリ声があっていると思ったからです。そして、聴いているとなんだか切なくなるのは、私だけではないように思います。
目次
Ⅰ ライチャス・ブラザーズについて
Ⅱ 癒しの音楽編 『アンチェインド・メロディー』ライチャス・ブラザーズについて
Ⅲ 映画音楽について
Ⅰ ライチャス・ブラザーズについて
ライチャス・ブラザーズは、アメリカ合衆国のデュオ。ブルー・アイド・ソウルの代表格と言われています。1960年代に『ふられた気持ち』『引き潮』『アンチェインド・メロディー』で有名。2003年にロックの殿堂入りを果たしています。
二人は、1962年にデュオを結成し、1963年にデビュー。1964年に『ふられた気持ち』がヒットし全米一位を獲得。1965年『アンチェインド・メロディー』は、全米4位。1966年にも『ソウル・アンド・インスピレーション』で再び一位を獲得。が、ビルが独立して解散。1974年に再結成し。ヒットを放つが、その後二人は、別々に活動。2003年、ボビー・ハットフィールドは、麻薬の過剰接種で死去。この年、ロックの殿堂入りをしているのが、何とも言葉になりません。しかし、1990年に『ゴースト/ニューヨークの幻』の映画で『アンチェインド・メロディー』が使用され、リバイバルヒットしたのが大きな救いです。現在、ビル・メドレーは、80歳を過ぎても元気に歌っている姿があるので、いつまでも、元気でいて欲しいと思います。
Ⅱ 癒しの音楽編 『アンチェインド・メロディー』ライチャス・ブラザーズについて
『アンチェインド・メロディー』は、1955年の映画『アンチェインド』の主題歌だそうです。同映画は、刑務所の囚人を主人公にしたものです。題名を和訳すると鎖につながれていないという意味だそうです。この映画では、トッド・ダンカンという人が歌っています。ハイ・ザレットが作詞、アレックス・ノースが作曲を担当しています。この曲は、100以上のバージョンがあるらしく、私も、エルビス・プレスリーやエンゲルベルト・フンパーディンクそしてトム・ジョーンズの歌を聞いたことがあります。日本では、尾崎紀世彦や平井堅そして島津亜矢等が歌っていました。もちろん、演奏のみのバージョンもたくさんあるようです。2012年のBBCで放送された「ザ、リッチエスト・ソングス・イン・ザ・ワールド」では、音楽著作権で史上最も稼いだ曲の第5位にランキングされています。
1955年、トッド・ダンカンが歌ったこの曲は、残念ながら、アカデミー賞の歌曲賞は、とれませんでした。同年に歌曲賞をとったのは、以前紹介した『慕情』です。どちらも、未だによく聞くことの多い名曲です。これと似たシチュエーションの曲に、トム・ジョーンズの『思い出のグリーングラス』があります。この曲も、囚人となった男が、故郷の風景を懐かしみそれを歌っているようです。前に紹介した『思い出のサンフランシスコ』とも相通ずるようですが、思っているのは、ただ、ひたすら会いたい彼女への思いというところが少し違う感じがします。
この曲は、元々、スローでどこまでも甘いメロディーが特徴で、覚えやすいですが、ハットフィールドが歌ったメロディーは、装飾音符が随所に盛り込まれていて、余程のプロであっても、簡単に歌いこなせません。しかも、音域が広いので、歌う事を尻込みしてしまうのではと思います。
それだけに、ハットフィールド盤は、名盤とも言うべきシングルと言えます。
Ⅲ 映画音楽について
映画音楽は、映画の画像と音楽と歌詞が一体化して、観る人の感情を揺さぶります。三位一体という言葉がありますが、正に、これにあたります。この曲を聴くと、『ゴースト』の場面を思い出す人は、たくさんおられる事と思います。映画は、総合芸術と言いますが、本当に私もそう思います。映画に音楽がなかったら、映画に言葉がなかったら、そんなことを考えると、少し、つまらない感じがします。映画は、人類が作り出した最高の娯楽作品であるとともに最高の芸術の一つだろうと思います。
これまで、様々な映画音楽を取り上げ、紹介してきました。まだ、取り上げていない映画音楽がいくつもあります。日本の映画音楽にもたくさんいい曲があります。がんばって紹介していきたいと思いますので、宜しくお願いします。