タイニー・ティム(1932~1996)は、アメリカ合衆国の歌手、俳優。私は、この歌手を紹介しようかどうかをかなり悩みました。 ネットの画像を見ると、異形の写真が多く、本人が、それをイメージとして、世間に売り出した面があるのかもしれません。それはともかく、彼を面白がって話題にする音楽番組も多いようで、私のつたない英語力でもそれが分かるシーンがありました。残念という他ありません。言葉というより、出演者の態度で分かります。確かに、男前ではなく、少し、鼻がわし鼻で特徴的ですが、こういう人は、普通にいます。姿かたちではなく、兎に角、彼のとんでもない歌唱力をじっくり聴いてみれば、楽しく幸せな気分になる事は間違いありません。
目次
Ⅰ タイニー・ティムについて
Ⅱ 癒しの音楽編 (Tip toe through the tulips=タイニー・ティム)
Ⅲ 自分の才能能力は唯一のもの
Ⅰ タイニー・ティムについて
タイニー・ティムは、ニューヨークのマンハッタンで生まれます。幼いころから音楽に対し並々みならぬ興味を示し、6歳でギターを習得し始め、時間があれば、ニューヨークの公立図書館に通いつめ音楽に関する書物を読みふけっていたそうです。11歳でヴァイオリンを習い始め、後にトレードマークであるウクレレに情熱を注ぎます。
タイニー・ティム。名前はディケンズの小説『クリスマス・キャロル』の登場人物の名前から拝借しています。本名は、分かりません。彼の歌の特徴は、ソプラノを思わせる超高音と本人のウクレレによる伴奏です。曲によっては、時折、ソプラノと本人の地声(バリトン)を絶妙に織り交ぜて歌う事があります。何の苦労もなくこういう事ができる才能には、開いた口が塞がりません。エンターティナーという言葉がありますが、この人こそ、それに相応しいと思います。1970年代のディーン・マーチンショウで、ゲスト共に過去現在のアーティストでNO.1は、誰かを言い合うシーンがあります。その中に出て来る名前は、プレスリー、ビング・クロスビー、フランク・シナトラ、トム・ジョーンズ、最後にタイニー・ティムといった具合に、彼の名前が出てきます。少し、お笑いを誘うために彼の名前が出て来るのは、頂けませんが、当時の知名度は、それくらい高かったというのは分かります。音楽というと、こうでなくちゃいけないというようなルールのような厳しさが求められることがあります。が、タイニー・ティムの場合、音楽を楽しんでいる事がよくわかります。それをふざけているという人もいるかもしれませんが、音楽は、こうあるべきというのは、何もありません。演奏して楽しく聴いて楽しければいいのです。それを実践してきたのが、タイニー・ティムだと思います。
Ⅱ 癒しの音楽編 (Tip toe through the tulips=タイニー・ティム)
この歌は、1929年のワーナー映画でニック・ルーカスが歌います。邦題は、『チューリップ畑に連れてって』です。が、この歌が今でも知られているのは、タイニー・ティムが1968年にヒットさせてからです。歌の内容はお気に入りの彼女を夜に連れ出し、チューリップ畑で彼女とキスをしよう。という筋です。ちょっと、微笑ましいというか、可愛らしい感じの曲想です。このメロディーに、ピッタリ合うように、ソプラノボイスでタイニー・ティムが愛らしく歌います。最初、ふざけて歌ってるのかなと思っていました。が、曲に没頭しているあまりに表現が、オーバーになってしまっているのではと感じています。彼に対するインタビューを聴きましたが、ふざける事が一切なく、インタビューに真摯に答えていました。彼の、オーバーすぎる声とアクションのパフォーマンスをYouTubeで聴いていただければと思います。
Ⅲ 自分の才能能力は唯一のもの
今まで、紹介してきたアーティスト達は、その道に優れた才能あふれる人たちばかりです。それと同時に唯一無二で、変わりの出来る人はいません。と書いたところ、昔の歌にNO.1にならなくてもいい、元々特別なOnly.1というフレーズが頭に浮かびました。そう『世界に一つだけの花』です。どうして、この言葉が、思い浮かんだのかというと、元々特別なOnly.1というところだと思います。元々というのは、人は誰でもそうなのだろうと思っています。あなたという個性は、才能と言っても構いませんが、変えようがないのです。あなたという人は、古今東西、たった一人しかいません。よく、輪廻転生して誰誰の生まれ変わりという話を聴きます。しかし、この時代に生きたあなたは、たった一人しかいません。前世のあなたとは、似ているかもしれませんが、違うのです。タイニー・ティムの歌を聴くと、たった一人の才能という個性をしっかり生き、存在した事を感じます。その足跡は、私の耳と目に焼き付きます。同じように、どの人の人生も、耳と目に焼き付けられるのです。焼き付けられた才能は、きっと、後に誰かが受け継ぎ継承します。皆、その特別な才能を持っているのです。
タイニー・ティムは、歌い終わると必ず、皆に、投げキッスを送りました。きっと、自分の歌で観客の人々が、拍手喝采する事に対するお礼としての投げキッスでしょう。彼は、何度も投げキッスをします。これ以上ない幸せな時間を過ごしているかのように。
自分の才能を発揮する事で、人々を幸せにする。これほど、幸せなことはありません。人は、皆、そんな才能を誰でも持っています。上手いとか下手とか関係ありません。自分が最も幸せに過ごす時間。これが、その人の才能です。あなた方もその才能があります。その才能を発揮して、幸せな時間を過ごしていきましょう。タイニー・ティムのように。
これからも『66歳の男のひとり言』続けます。宜しくお願いします。